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平成26年 1月 7日
在ポルトガル日本国大使館

 

東大使からの新年のご挨拶

 

 2014年を迎えるに当たり、皆様には謹んで御挨拶を申し上げます。

 

 昨年10月に着任し3か月弱が経過しましたが、大使としての正式な活動開始となるカヴァコ・シルヴァ大統領への「信任状捧呈」は去る11月20日でした。また、12月13日には「天皇誕生日祝賀レセプション」を開催し、陛下の80回目の誕生日を皆様とともにお祝いできたことを嬉しく思います。この間の皆様の御支援・御協力に改めて御礼申し上げます。

 

 さて、「2014年」は、我が国にとっても、ポルトガルにとっても、その将来を占う「試金石」とも言うべき重要な「年」になることが予想されます。

 

 現在ポルトガルは、財政・経済危機克服のため「緊縮政策」等に真剣に取り組んでいます。本年6月末には、いわゆる「トロイカ合意」に基づく財政再建と経済成長の「支援プログラム」から「卒業」できるかどうかの分岐点を迎えます。ポルトガルの内政・外交は、この課題の克服を軸に動いていくことが予想されます。

 他方、我が国では、安倍政権の誕生以来、いわゆる「アベノミクス」の「3本の矢」を推進中で、昨年、日本経済は、「マイナス」から「プラス」へと大きく転換しました。本年は、20年にも亘る「デフレ」から脱却し、「経済再生」を実現できるかどうかの目処をつける重要な年となります。

 

 ここで、この両国の関係に目を転じれば、皆様ご承知のとおり、今から471年前の1543年に3人のポルトガル人が種子島に漂着し、初めて西欧文明を我が国に伝えました。特に、その時にポルトガル人によりもたらされた鉄砲は、当時各地の戦国大名間で戦乱が繰り返されていた日本を統一に向かわせる上で大きな役割を果たしました。日本人は誰でもポルトガルのことを知っており、ポルトガルに対して大変親近感を抱いています。日本語の中にも数多くのポルトガル語起源の言葉があるのもご承知のとおりです。

 

 ただ、こうした長い歴史的な友好関係に比して、現在の両国関係には、更にその強化に十分な余地があるというのが実情です。このため、大使館としては、昨年の「交流年」において、種子島以来470年という長きにわたる日本ポルトガル交流を振り返ると共に、相互理解の一層の増進と未来に向けての二国間関係の緊密化を図るため、様々な交流事業を行ってきました。6月には、3回目の「日本祭り」が盛大に開催されました。また、6月のリスボンで開催された国際ロータリークラブ世界大会の際には、日本とポルトガルの姉妹都市のロータリアンとの交流が行われ、交流年に相応しい友好関係の増進が図られました。特に文化交流の面では実に多くの事業が行われ、私が着任してからのわずかな期間でも、「津軽三味線公演」、「レナード衛藤氏による和太鼓公演」、「宮廻正明画伯の日本画展」、「日本映画祭」等が実施され、私自身日本文化の素晴らしさを再認識する良い機会となりました。

 

 昨年の「交流年」では、政治・経済面でも重要な進展がありました。3月の「ポルタス外相(当時)の訪日」は、2007年のアマード外相訪日以降6年ぶりのポルトガルからの外相訪日でした。岸田外相との会談では、二国間関係のみならず国際情勢についても大変有意義な意見交換が行われました。両外相は、「交流470周年」に言及しつつ、「再生可能エネルギー」や「スマートコミュニティ」等の分野での協力推進、ポルトガル語圏諸国における企業間協力の促進等、経済面での協力推進が重要であることを確認しました。

 

 7月にはポルタス外相訪日のフォローアップとして、「経団連ミッションの来訪」が実現しました。ミッション一行は、カヴァコ・シルヴァ大統領、コエーリョ首相、ポルタス外相等から歓迎を受けると共に、各々から日本への期待とポルトガルの現状についての説明を聞き、日本とポルトガルの長い交流史を改めて振り返りつつ、二国間関係の未来に向けての発展の可能性を認識しました。  また、7月末に発効した「日ポ租税条約」により、二重課税や不当課税の解消が図られ、二国間投資関係の一層の発展が期待されています。

 また、直近数ヶ月の「日本企業」の活躍ぶりには目を見張るものがあります。昨年8月には「丸紅」がGDFスエズの発電資産の50%を取得して火力、風力、水力、太陽光と多岐にわたる分野でポルトガル電力市場への本格参入を果たしました。また、「カゴメ」がポルトガルのトマト産業に貢献し、「研究センター」の設置によりその輸出競争力をますます高めつつあります。ごく最近の動きとしては、自動車用部材メーカーである「内山工業」が、新市場への輸出拡大を見据え、生産ライン拡張のため2000万ユーロの追加投資を決定しました。一方で、ポルトガルからは太陽光発電事業者である「マルティフェール・ソーラー社」が東京に事務所を開設するなど、ポルトガルから日本へのビジネスも着実に拡大しつつあることは大変心強い限りです。

 

 私は「交流470周年」のいわば終盤に着任しましたが、470年目は終わりでも、本年は471周年です。私としては、470周年で終わることなく、これを新たなスタートとして両国関係の重層的な関係緊密化に取り組んでいきたいと思います。文化交流はもとより、経済面での交流の促進や政治・外交面での協力、ハイレベルの人の交流、地方同士の交流にも力を入れて行きます。

 両国間で8組ある姉妹都市及び国際友好都市間でも積極的な交流が進んでいます。私は昨年10月、当地への着任前にポルトの姉妹都市である長崎市と、レイリアの姉妹都市である徳島市を訪問しました。両都市市民がポルトガルを良く理解し、親しみを持っていたことが印象的で、およそ5世紀にもわたる両国の歴史的な繋がりを再認識しました。ポルトガルの方々にも日本のことを更に良く知って頂きたく、日本大使館では昨年に引き続き本年も「日本祭り」や「映画祭」、「書道展」等様々な文化行事を企画する予定です。特に、文化事業にあたっては、東北大震災の際に世界で日本人の行動が注目されたように、「規律」、「謙虚」、「冷静さ」、「思いやり」等日本人の「生き方」に息づく「日本的価値」の発信に留意致したく存じます。また、明治維新以降の西欧化・経済発展の背景に、「読み」「書き」「そろばん」を基本とする「教育」を重視してきた歴史的・文化的伝統があったことに光を当てて行きたく存じます。

 また、経済分野においても、上記の最近の進展を大使館としても更に後押しするため「日本企業支援」を強化致します。また、豚肉を初めとしてワイン、チーズ、オリーブオイル、ハチミツ等農産品の貿易促進等について、関係者ともよく話し合い、具体的な方策を考え、実現していくよう努めたく存じます。以て両国の「課題」を共に克服しつつ日本・ポルトガル双方が「ウィン・ウィン」の関係を築けるよう努力致します。

 このように、本年も、新たな決意で、政治、経済、文化など幅広い分野で二国間関係が一層発展するよう尽力する所存ですので、皆様の御理解と御支援・御協力をお願い申し上げます。また、本年が、皆様一人ひとりにとって、実り多い素晴らしい一年となりますようお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。

 

 

 

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